ごきげんよう。 いとう るか です。
『まいっか☆いとうるか』
4回目の投稿となりました。
今回は 前回の最後にお知らせした通り
『アイデンティティ』についてです。
前回の投稿はこちら ⇓
アイデンティティって言葉は なかちゃん大人になってから知ったよ
そうね 感覚としてはあったと思うけど 言葉として教わる機会はなかったね
うん「自分は何者なんだろう」とか「何のために生きてるんだろう」とか
その感覚 何度かあったものね
そなの 思春期にもあったし 最近だと中年期にも
立ち止まったときね 「自分は何がしたいんだろう」って
うん もう一回振り返ってみよう!
なかちゃんの復習も兼ねてね
心理の領域に携わっている方はもちろん既知の内容だと思いますが 初めて耳にする方にも分かりやすく(何よりもなかちゃんが飲み込めるように)柔らかい言葉で るか からお話しさせていただきます。
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アイデンティティとは?
精神分析家の エリクソン(Erikson,E.H) という人がいました。ドイツに生まれ、のちにアメリカに移住したようです。ほんの30年程前までご存命でした。『アイデンティティ』という言葉(概念)はこの方が提唱し『心理社会的発達理論』という独自の“精神発達理論”を展開した人です。また人間の心理的・社会的な発達を『8つの段階』からなる図として表しました。
この図の書き方や表現は色々ありますが、ここでは なかちゃんノート で説明しますので、ふわっと見てもらえれば大丈夫です。「階段状になっているんだな」という感じから入ってもらえれば十分です。
図を見るとわかるように 人の『発達』は、生まれてから生涯に渡って段々と積み上がっていきます。各段階に書いてある言葉ですが、上段には『危機』、下段には『課題』となる言葉が書いてあります。
たとえば乳児期(0~1歳)には “基本的信頼 対 基本的不信” とあります。これは 自分あるいは他者に対して基本的な信頼を獲得できるか それとも不信に陥るかということが『危機』となり、そんな状況を乗り越えて生きる希望を持つことが、この時期の発達の『課題』となっています。
赤ちゃんは母乳をもらい おむつを変えてもらわなければ生きられません。そしてまだ言葉も使えないため、泣くことでしか不快さを訴えることができません。それを察し、抱きしめ、サポートしてもらえるかどうかということが、この時期 そしてこの先も 生きていくうえでとても重要なこととなります。
つまり『養育者を信頼できるか・自分がここに存在していいか=危機』『生きる希望を持つこと=課題』となります。
さて 本題の『アイデンティティ』はというと、思春期・青年期(13〜21歳)の段階にある “同一性” という言葉がそれに当たり『自我同一性』とも言います。この時期は心理的にも社会的にも変化・移行していく時期です。この言葉の表現は様々ですが次のような意味になります。
『自分が自分(同一)であるという主体的な感覚』
『歴史/民族/社会的に認められた一個人の存在全体』
図には “同一性 対 同一性混乱” と書いてありますが、“アイデンティティの確立と拡散” と言われることが多いかもしれません。これがこの発達段階の『危機』です。この危機をくぐり抜けてプラス方向に傾けば 忠誠 という『課題』がクリアでき、それができなければ(マイナス方向に傾けば)課題は残り拡散に陥る…というわけです。
つまり『アイデンティティ』は、生まれてからそれまで積み上げてきた『自分』という存在を振り返り、自分自身を認め、それが 他者からも肯定的に受け入れられることで確立し、課題である “忠誠心” が芽生えます。一方『自分』という存在を自分自身が否定したり、他者からも認められず否定的だった場合にはそれは確立できず拡散(混乱)したまま次の段階に進んでしまいます。
まさになかちゃんが「自分は何者なんだろう」と最初に考えたのがこの頃ですね。この状態を “アイデンティティクライシス” と呼びますが、このクライシス(危機)を感じて『自分探しの旅』に出る人もいます。人が発達していくうえでとても自然で 健康的な成長だと言えるのではないでしょうか。
まずは自分を認める
生まれ育った環境は人それぞれです。大家族の人もいれば父子家庭の人もいます。家族を知らずに育った人や戦時下で生まれた人も。環境だけでなく文化・宗教・言語、また身体的な特徴に加え 生物学的な性別と性自認が一致している人・一致していない人などもいます。これらの様々な要素が複雑に重なり合い『自分』という一個の人間が成り立っています。
『天才バカボン』というアニメに出てくるバカボンのパパ。彼の口癖は「これでいいのだ!」です。これ以上の自己受容はないのではないでしょうか。まずは “今ここ” に存在している自分を受け入れ、認めることから始めてみましょう。その先には、他者を理解し 受け入れられる 穏やかな未来 がきっとあるはずです。
心理学の基礎を子供たちに
今回『アイデンティティ』について簡単にお話ししてきましたが、この危機は 多感な中学生の時期から始まります。そしてこれを確立するには長い時間がかかります。だからこそ、なかちゃんも「心理学の基礎を 義務教育の教育課程に取り入れて欲しい」と願っているひとりです。同じ思いを抱いている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
『課題』の存在に気付かなくても生きていくことはできます。気付かない方が良い事も世の中にはありますので…でも「あ、この年代になったからこんな危機が待っているな。じゃあ自分はどうすればこの課題をクリアできるかな」と “予め知っている” ならばどうでしょう。この先に崖があることを知らずに歩くより、知っていてその崖を降りるロープを準備することができれば…無事にステージクリアです。
なかちゃんのように『課題』を残して大人になった人もいるでしょう。でも遅くないんです。今からでもクリアすることはできます。それをまず大人が知ることが大切です。そして未来ある子供たちが 知る機会を与えられ、自分を大切に生きていってくれることを るかも なかちゃんも 願っています。
・人は生まれてから 生涯発達し続ける
・アイデンティティという言葉の意味を知る
・アイデンティティには確立する『時期』があり その時期には『危機と課題』が存在する
・まずは自分を認めることが大切
尚、人の発達については色々な理論(考え方)があります。年齢の線引きも 呼び方もその理論を提唱した人によって少しずつ違います。今回はアイデンティティについてお話ししましたので、エリクソンの考え方で進めてきました。ひとつの事柄についてどう考えるかは人それぞれですし、それこそが多様性でどれが正しいということではないと思います。
次回のお知らせ
さて次回は 先ほど少し触れましたが『心理学の基礎』というところに関連して『話を聴く』ということについて書いてみたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
まったね~! まったきってね~!