STEP1_ep3 6歳→10歳

ごきげんよう。 いとう るか です。
『まいっか☆いとうるか』
17回目の投稿となりました。
前回は なかちゃんの成長記録
「まいっか!」までの5ステップ
3歳から6歳までのエピソードでした。
前回の投稿はこちら ⇓

新しい出会いは人生を彩ります

今回は、小学校に入学した6歳から
なかちゃんにとって人生の大きな転機となった
『転校』までのエピソードです。

入学

なかちゃんが入学した小学校は、幼稚園とは真逆の方向にありました。なかちゃんにとっては全く知らない土地でした。こどもの足で20分くらいの距離。児童数も少なかったからでしょう、集団登校ではなく兄弟や近所の友達と一緒に通っていました。
その学校は『ランドセル』ではなく『ランドリュック』という名前の通学カバンを使うことになっていました。軽くて撥水性もあり、とても機能的なものでした。昨今では、重いランドセルを改善しようと全国で話題になっていますが、雪深い地域では、古くからこのような仕様の通学カバンが存在しました。
また、制服や体操着はありませんでしたが、運動会ではなぜが『足袋』が指定でした。足の裏がゴム製になっていて滑りにくいのですが、地下足袋ほどの厚みはなく小石を踏むと痛かったようで、運動嫌いななかちゃんは更にテンションが下がったと言います。
スクール水着もありません。カラフルで装飾の付いたもの、ビキニでも何でもありだったのは、プールの授業ができる期間が短かかったからなのでしょう。なかちゃんの中では、プールは水遊びという感覚でした。
学校の周りは森と畑、その向こうには牛舎もありました。風向きによっては教室に色々なにおいが侵入し、窓を閉めないと大変だったようです。
自然豊かな環境があり、個性を尊重し 機能性を重視する小学校での生活は、ぼんやりしていたこの頃のなかちゃんにとっては心地よく、適していたのだと思います。

恩師

1年生の時の担任の先生は、入学間もない子供たちの好奇心をくすぐる色々なアイデアで、やる気にさせてくれるアグレッシブな先生でした。学校の敷地内にあった宿舎にご家族で住んでいたこともあり、お休みの日には先生の家に遊びに行かせてもらうなど、なかちゃんにとっては安心できる存在でした。2年生になって担任ではなくなりましたが、今でも毎年年賀状を送っている恩師です。

余談ですが なかちゃんは結婚後なーさんと、大きくなったししょーも一緒に、先生のお宅に遊びに行かせてもらったことがあります。その時も、先生の案内で『グラウンドゴルフ』というスポーツを体験させてもらいました。
数十年会っていなかった教え子とその家族をあたたかく迎えてくれたうえに、一緒に楽しもうとイベントを企画してくれるところ、あの頃と何も変わっていませんでした。ご高齢になってもなお好奇心を持って創作活動をするなど、新しいことにチャレンジしている先生を、なかちゃんはとても尊敬しています。
恩師との出会いは、なかちゃんの宝となりました。

苦手

算数

1年生の時は感じなかった「苦手」という意識。それは2年生で突如現れます。
まずは算数。『九九(くく)』という王道で躓きました。終業式の日、みんなが掃除をする中 先生の前に九九が完成できないメンツが並びます。途中で間違えると「はいやり直し」と言われ、うしろに並び直します。できるまで帰れないのですからプレッシャーのかかるループです。
なかちゃんは7の段・8の段で必ず間違えます。
「しち・く…ななじゅう…に?」「はいやり直し」
「はち・しち…しじゅう…く?」「はいやり直し」
くくはちじゅういちが言えるまで続きました。
今なかちゃんが大人になれているということはきっとこの時、何とか完成したのでしょう。でも「やった~!」という記憶はないとのこと。人は、負の感情の方が強く残ってしまうのですね。
「算数やりたくない…」残念ながらその後「逃げられない」ということに気付くのでした。

スキー

なかちゃんは体育も「苦手」と感じていましたが諦めもあり 不思議と受け入れていました。
雪国は体育の授業で『スキー』があります。スキー場まで行くスキー遠足もありましたが、授業では、森にある坂まで行って練習しました。そこまではスキー板を付けた状態で歩いていくので “歩くスキー仕様” の同級生はスイスイ行きますが、なかちゃんはノーマルなスキー板。着く頃にはグッタリです。おまけに「苦手…」です。となると…
なかちゃん考えました。“九九方式” で回避です。
一列に並んで順番に滑るところを、なかちゃんは自分の番が近づくと再び一番後ろに並び直しました。そうこうしているうちに 授業は終了。また歩いて学校に戻るのでした。
…良い子はまねをしないでね。

後悔

ピアノ

オルガン教室を修了し、ピアノに移行しなかったということは前回お話ししましが、3年生になって それを後悔する日が来たのです。
学校行事の演奏会で、なぜかなかちゃんがピアノ担当になったのです。さあ大変です。楽譜の理解もピアノ演奏もオルガン教室レベル。半泣きで練習しましたが、全くできません。「こんなことなら、ピアノやっておけばよかった…」そう思ってもあとの祭りです。
演奏会までに間に合ったのか、それとも途中で断念して他の人に変わってもらったのか。 “九九事件” 同様、その後の記憶は全くないそうです。ここでも負の感情だけが残ることとなり、なかちゃんにとって初めての『後悔』となりました。

バレエ

ある時なかちゃんは、ウツツママと一緒に駅向こうにあるバレエ教室に 見学に行きました。お友達が習っていたわけでもないのに、何故習おうと思ったのか理由はわかりません。
でもなかちゃんは、その日のうちに習うのをやめてしまいました。その理由ははっきり覚えていると言います。それは、レッスンを見たからというよりも、既に出来上がった女の子たちのグループを見て、そこに入っていくのが怖くなったというのです。ウツツママには、この理由を言いませんでした。
なかちゃんはこの頃から 集団、特に強いリーダーのいるグループに対する怖さのようなものを感じ始め、その後も集団に属することを避けるようになりました。
上下関係があるであろう集団の醸し出す空気を察知し、なるべく関わらないように過ごし、ほどほどの距離感を好む友達と仲良くするようにしました。その方が怖さや苦しくさがないと感じたのでしょう。今でもそのスタイルは変わりません。
ただ、この機を逃してしまったためその後もバレエに触れる機会はなくなりました。本当は踊りたかったのかもしれません。なぜなら、大人になって別の形で踊ることになるのですから。

初恋

同級生にB君という男の子がいました。勉強も運動もできる学級委員長です。ぼんやりしているなかちゃんの目にも、B君の存在はとても魅力的に映りました。そして何より、優しい男の子だったのです。決して威張らず控えめで、恥ずかしがりやな少年でした。
時々言葉を交わしたときには、女の子と話すのが苦手なのか、ぷっくりしたほほを赤らめるのが印象的で、なかちゃんが『異性』として初めて意識したのが彼でした。
なかちゃんの学年は2クラスでしたが、4年生になった頃には下の学年ほど徐々にクラス数が増えていきました。ベッドタウンとして発展していったのでしょう。
2クラスしかない学年は、進級しても同じクラスか隣のクラス。学年全員が友達という感覚でした。そんな中でも、B君が同じクラスにいるととても楽しく、学校生活に彩りを感じられたのは、この『初恋』のおかげかもしれません。
誰かを好きになるということがこんなにも命に力を与え、心を豊かにするものなのだということに初めて気づいた、10歳のなかちゃんでした。

転校

5年生の春です。ウツツパパが転勤することになったという話を聞かされました。ちょうど同居していたウツツバアバが入院していた頃で、バアバは親戚にお願いして家族4人で引っ越すというのです。もちろん学校も転校することになりました。
なかちゃんは過去の『引っ越し』という経験では、そんなに変化を感じませんでしたが、さすがに今回は違います。学校という集団生活の場が大きく変わってしまうのですから。それでも、話を聞いた時は実感がわきませんでした。
クラスの中で『転校』というキーワードが飛び交い、一種のイベントのようなワクワク感がありました。
少し他人事のような気さえしていたなかちゃんも、それが近づくにつれて、何か大きなものが動くような、見えないものに動かされるような、自分ではどうにもならない未来への不安を感じ始めていました。
仲良くしていた友達からの贈り物や、クラスのみんなが書いてくれた色紙など、思い出の品をたくさんいただきました。「また会おうね」という言葉は本当にまたすぐ会えるような気がして、不安を抱えたなかちゃんを勇気づけてくれるものでした。

なかちゃんの苦手な春の運動会が終わった頃、新たな地へと旅立つ日が来ました。電車に乗り込むまで、たくさんの友達が見送りに来てくれました。嬉しいのに寂しい。この時の引っ越しは、前に経験したものとは全く違い、心が揺れるものでした。
電車の窓から外を見ると、線路沿いの道路にもたくさんの人がいます。その中になかちゃんは、B君の姿を見つけました。なかちゃんは「きっともう会うことはないんだろうな」ということを、直感したそうです。
人との縁でなかちゃんがそう感じたときは、本当にその後会うことはありません。実際その後何度か帰省した時でさえも、B君に会うことはありませんでした。
なかちゃんの『初恋』は、ちょっぴり切ない想い出となって終わりを迎えました。

まとめと次回について

今回は、小学校から5年生で転校するまでのエピソードをお伝えしました。
ぼんやり生きていたなかちゃんが、学校生活を通して『自分のこと』を少しづつ知ることになりました。そしてちょっと悪いことや後悔などもしながら、人間らしく成長してきました。
さあ、いよいよ新しい場所での生活が始まります。
果たしてどんなことが待っているのか…
次回は転校してから中学校卒業までです。

なかちゃん
なかちゃん

最後だけ登場~
まったね~!まったきってね~!